言われたまま依頼を引き受けない
依頼ができる管理者は少ない
一括りにしてはいけないと思うが、世に言う管理者の依頼は雑だ。
いざ言われた依頼をそのままやってみると
「違う、そういうことを頼んだつもりじゃない」
「私はこういうつもりで頼んだつもりだ」
と言われるのが関の山だ。ともかく、依頼を信用し切ってそのまま引き受けてはならない。
自分から依頼を確認しに行く
まずは「依頼には全てが伝えられていない」と考えてかかる。
依頼を信用し切るなということだ。
その意識下で、依頼に次のことが抜け落ちてないか確認して欲しい。
- 必ず確認すること
- なぜ、この依頼を遂行しないといけないのか
- 何を以って完了とするか
- 期日は切られているか
- 依頼の優先度はどれぐらい高いのか
- 場合によって確認すること
- 完了報告はどのように提出すれば良いか
- 途中報告が必要か
なぜ、この依頼を遂行しないといけないのか
手戻りが多い、やたら時間がかかっている依頼には、なぜ、の説明が抜けている。
資料作成の依頼を例にとろう。
資料作成ならば、資料のレイアウト調整作業が必要になってくるだろう。それはどこまでやる必要があるのか。
どこまでの前に、なぜ、が聞けているかを把握することだ。
上司と自分の間で意思疎通をとることが目的と聞いたならば、レイアウトすらいらないはずだ。メモでもよい。
世間一般に公開するレベルで資料が作ることが目的と聞いたならば、何度もレビューを繰り返す必要があるはずだ。
一回目のレビューはいつにするか、レビューは何回繰り返すかの話も必要になってくる。
なぜ依頼を実施する必要があるか「この依頼をする背景や目的を教えてもらえますか」と聴くことだ。
何を以って完了とするか
やらなくていいことに時間をかけてしまう依頼にはこれが抜けている。
依頼者はおそらく「とりあえずこれやっといて」で依頼を済ませているだろう。
そんな依頼を受けたら「A, B, C をやれば依頼は満たされますか」と聴くことだ。
期日は切られているか
「これ、この日までに必要だったんだけど、できてますか」から始まる
「この日までにやって欲しかったんだけど」という依頼にはこれが抜けている。
依頼を受けた時に期日が決まっていなかったら、聴く。
依頼者が期日を切っていない場合、仕事に対して無責任な人だと思っておこう。
期日を切るのは依頼者の責任だ。
依頼の優先度はどれぐらい高いのか
期日と同じく、優先度も聴くことだ。避けておくべきは、
優先度高の作業が10個も20個もあるような状態だ。
電車の座席が全て優先座席だったら、優先座席の「優先」の価値はなくなる。
ではどうするかだが、普段は優先度高がない状態を継続しておき、どうしても
やらないといけない優先度高が割り込んできた時に
それを予定に入れられるようにしよう。
完了報告はどのように提出すれば良いか
日々の定型業務であれば問題ないが、突発的に湧いてできた作業では聴いておくことだ。
途中報告が必要か
確認しなくてもやって欲しいが、途中報告が必要かどうかは
聴いておくことだ。一連の作業規模が大きく、
最後の報告を確認する時に、その量が膨大になるならば
途中報告を入れるべきだろう。
顧客が本当に欲しいものを聴く
「穴とドリル」の寓話を知っている人は読まなくていい
「聴く」のが依頼を受ける側の任務
ある雑貨店に客が来た。店員にこう尋ねた。
客: 「ドリルはありますか」
業務でドリルを使わ無いだろうビジネススーツ姿の客に、店員は続ける。
店員: 「ドリルですか、揃えておりますが 3 万円以上の高価なものしか残っていません」
客: 「うーん、仕方ないですね... ではその中から一番安いものを買わせてください」
この店員は客の話を聴いていない。ただ単に話をそのまま処理しているだけ。客も損だ。
客はなぜドリルが必要なのだろうか。
人の話を聴く店員が対応していたらどうだろうか。
客: 「ドリルはありますか」
店員: 「ドリルですか、揃えております。失礼ながら、なぜドリルが必要なのでしょうか」
客: 「会社に書類がたくさんありまして。ホッチキスでまとめるには一部が厚すぎるので、穴を開け、紐を通してまとめたいんです」
店員: 「なるほど。ちなみに、千枚通しではダメですか」
客: 「千枚通しというものを知らなかったです。その道具を見せてもらえますか」
その後、客は千枚通しを購入する。
客はドリルではなく、それよりは安価で、本当に欲しかった千枚通しを購入できた。
「聴く」ための手段
- なぜ、で話を持ちかけてきた背景を聴く
- なぜ、それが必要なのですか
- なぜ、その案を実現していこうという話になったのでしょうか
- 具体的に、で相手の想定物を聴く
- 赤いオブジェクトとは、具体的にどのようなものでしょうか
- 短めの期間でとは、具体的には 1 週間の期間でしょうか、1 ヶ月ぐらいの期間でしょうか
- 例えば、で相手の想定物を聴く
- プライバシー保護用の処理とは、例えばどのようなものでしょうか
- バッファを持たせておくようにとは、例えば1日ぐらいを見積もっておけば良いでしょうか
つまるところ
すぐにハイというな、ということだ
報連相が失敗するパターン「相手に何をして欲しいかを伝えられていない」
相手に何をして欲しいかを伝えられていない 報連相は失敗する
よく聞くのが「単なる事象・結果を述べている報連相」だ。
- 報告です、依頼されていた調査が終わりました
- 報告です、レビュー用の資料作りました
- 連絡です、共通モジュールのここを編集しました
- 相談です、レビューの指摘内容を理解できたかどうか怪しいです
報連相を受け取った側は何をしてよいのかわからない。
何をしてよいのか分からないから、報連相してきた側に問い詰める。
「それで、私は何をすればいい。それを言いに来ただけか」
この問い詰めが報連相の失敗だ。
相手に何をして欲しいかを添える
問い詰めをなくすには「相手に何をしてほしいか」を報連相に添えることだ。
- 報告です、依頼されていた調査が終わりました
- (加えて) 調査内容を明日の 16時までにレビューしてもらえますか
- 報告です、レビュー用の資料作りました
- (加えて) 資料内容に誤りがないか、今日の定時までにチェックお願いできますか
- 連絡です、共通モジュールのここを編集しました
- (加えて) 皆さんの編集モジュールには影響ないと思いますが、問題あれば教えてください
- 相談です、レビューの指摘内容を理解できたかどうか怪しいです
- (加えて) 14時ごろに口頭で質問させてもらってもよいですか
ビジネスで大事なこと
「相手に何をして欲しいかを伝えること」 である。
金をもらって仕事をする以上、職種が何であれあなたはビジネスマンだ。
ビジネスマンは仕事を前に進めなければいけない。
仕事を前に進めていると必ず、課題が出てくる。
課題を解決するために、自分以外のヒトに動いてもらわないといけない場合がある。
その時、あなたは明確に「ヒト = 相手に何をして欲しいか」を伝えられているだろうか。
「これよく分からないんですよね」「難しい課題に当たってしまって困っているんですよね」
では相手は動かない。
どうすればよいか考えよう。